片恋綴


まるで空中浮遊してるような人。空を舞う海月のような人。

以前、臨時で手伝いに来た小柄な女性が原崎さんのことをそんなふうに言っていたのを思い出す。確かに、と同意したのも。

それは彼のいいところでもあるし、悪いところでもある。要は、掴み所のない、何を考えているのかわからない人ってこと。

にこにことする原崎さんの後ろから綺麗に着飾った理生がもじもじと姿を現した。

淡いグレーのワンピースに、胸元には淡いピンク色の大きな造花。髪はいつも以上にふわふわとし、化粧もいつもより濃い。

凄く綺麗だと思った。

理生は元々顔立ちは悪くないが、何処かおどおどとした印象があって、それを台無しにしてしまう。だからこうして綺麗に着飾ると本当に美しくなる。

「変……じゃないかな?」

理生は折角綺麗にしてもらったというのに、顔を俯かせて言う。

そんなことない、綺麗だ。

この一言が喉に引っ掛かってスムーズに出てこない。


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