片恋綴
「な、何言ってるのっ」
焦ったような理生の声に笑う。
「今はまだ、綺麗に撮れる自信ないからさ」
理生がこちらを見てくれたとき、本当に綺麗に撮れるんじゃないかと思った。それまでは、佐南さんみたいに色々詰まった写真が撮れたらいいな、と思う。
俺の想いが全てそこに詰まったらいいな、と思う。
原崎さんみたいに何かを抑えて上手く立ち回ることは出来ないから。それなら俺は俺らしく、たまに大きく行動してみるのがいいんじゃないか、と思えた。
空はあまりに晴れていて、綺麗だったから。この景色がこのカメラに収められていると思うと嬉しかった。
そしていつか、真っ直ぐに君にカメラを向ける。
敵わないとか、叶わないとか、何にも考えずに、真っ直ぐと。
Next story is 「心が高鳴るのは本当だから。」