片恋綴
「今は急いでるから駄目。また今度ね」
原崎さんは口を尖らせながら言う。
――多分、私が彼と恋人同士になれることはないと思う。いや、きっとない。
それでも友人みたいな関係にはなりそうだな、なんて思う。そうなれたときには、私の気持ちはきっと彼には向いていないのだろう。
彼の気持ちも私には向いていない。
それなら、いつかこんなふうに恋愛相談を出来る関係になれたら、なんて思う。
「じゃ、おやすみ。気を付けて帰りなよ、理生ちゃん」
名前で呼ばれるだけで、嬉しい。
今はまだ、彼の一挙一動に心が高鳴るのは本当だから。
今はまだ、この気持ちは恋なのだ。
私は原崎さんに大きな声でおやすみなさい、と返した。
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