幻想国物語 * 黒の魔導師と白の姫君
序章
皆、座りなさい。
ほら、近くに寄って。
今夜は、お母様が昔話を話しますよ。
そう、いい子ね。
今から話すことは、今からずっとずっと遠い日のこと。
遥か昔、この国に、戦争に明け暮れていた時代のことよ。
確かに、リリィの言うとおり。
今でこそ、ラサは平和な国だと言えるでしょう。
だけどその頃は、この国を統べる者はおらず、ただ権力者同士がいがみあって、各地の争いは絶えなかったの。
勿論お母様はその時代の人ではないから、わからないのだけれど。
作物が荒れ、流行り病が各地を襲い、地には亡骸が転がる……。
そういう時代だったと、言われているわ。
でもね。
そんな時代が幾年か続いたある日。
霧が濃く広がった丘の上、一人の青年が現れたと言われているの。
ほら、近くに寄って。
今夜は、お母様が昔話を話しますよ。
そう、いい子ね。
今から話すことは、今からずっとずっと遠い日のこと。
遥か昔、この国に、戦争に明け暮れていた時代のことよ。
確かに、リリィの言うとおり。
今でこそ、ラサは平和な国だと言えるでしょう。
だけどその頃は、この国を統べる者はおらず、ただ権力者同士がいがみあって、各地の争いは絶えなかったの。
勿論お母様はその時代の人ではないから、わからないのだけれど。
作物が荒れ、流行り病が各地を襲い、地には亡骸が転がる……。
そういう時代だったと、言われているわ。
でもね。
そんな時代が幾年か続いたある日。
霧が濃く広がった丘の上、一人の青年が現れたと言われているの。