Return!!

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「ヒナちゃん!」

お昼休みの教室。
わたしはお弁当を持ってヒナちゃんに駆け寄った。
ヒナちゃんの席の隣を借りると、さっさと包みを開けて陣取る。

近くに寄ると、ヒナちゃんから甘い香りがしてきた。
香水?シャンプー?
どっちでもいいけど、すごくいい匂いがする。
おまけにヒナちゃんはとっておきの美人なのだ。
名前は東城 雛菊。
だからヒナちゃん。
お家が物凄くお金持ちで、"お屋敷"って言葉がぴったりの古風な洋館に住んでいる。
髪の毛は艶々としたストレートロングで、スタイル抜群!
さらに成績もトップクラス、運動神経もすっごくいい。
こんな完璧なお友達を持ったわたしは幸か不幸か。
もちろん幸せです。
だって、ヒナちゃんは優しいし、同い年の私から見ても憧れの存在なんだから。

「どうかした?」

ヒナちゃんは透き通るような、少し低い声で返事をした。
落ち着いてるって言うのかな。
ヒナちゃんの声は、ゲンシュクな気分になるのです。

同じ高校3年生とは思えないその上品な顔立ちに、通り過ぎていくみんなが振り返ってしまう。
幼馴染の特権があるわたしは、こうして話しかけられるけど、
他のみんなはちょっと違うみたい。
遠慮してるように見える。
確かに美人だけど、ヒナちゃんは漫画に出てくるようなお嬢様じゃない。
週末には一緒にショッピングしたり、ソフトクリームを食べて過ごす、
ごく普通のジョシコーセーだ。

「ねねっ、来週の土曜日空いてる?」
「どこか行くの?」
ヒナちゃんの大きな瞳が瞬く。
「実はね、駅ビルにネイル教室入ったんだ。そこの体験コースに行きたいな~って。
けど、一人じゃ参加し辛くって……」
ヒナちゃんはため息一つついたけど、次の瞬間--
「分かった、一緒に行ってあげる」
とにっこり微笑んだ。
ね、ヒナちゃんはやっぱりとってもいい子だ。
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