あなたのギャップにやられています

「なんの用ですか?」

「えっ、えーっと……」


バツの悪い顔で雅斗に詰め寄られているのは、あの隣の男だ。


「冴子は俺の女だ。手出したらただじゃすまねぇ。よく覚えとけ!」


突然啖呵を切った雅斗に、びっくりして声も出ない。
でも、すごくかっこいい。

だっていつも鉛筆を握ってデザインしているあの人とは、別人だもの。



『俺の女』ってとこ、もう一回リピートプリーズ! 
女ってこういう言葉に弱いのよ。

なんて浮かれている場合じゃない。


もしかして、いつもああやって覗かれていた?

いや、外からは見えないか。
でも、音は聞こえる……。


自分がどれだけ無防備で危険と隣り合わせだったのか、はっきりと目にした私は、腰が抜けてしまってそこに座り込んでしまった。


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