あなたのギャップにやられています

同棲、ということになって、外でと同じように身構えていたかもしれない。
これから家でも仮面を被らなきゃって。

でも……。


「俺だって、会社と違うだろ」


えぇ、それはものすごく。


「だけど、今の俺が本当の俺。冴子だけには知っておいてほしい」


私、だけ?
そんな言葉に、本当に彼にとって特別なひとりになったんだって、なんだか自信がわいてくる。


「木崎君、私……」

「ん?」

「すごく干物女だよ?」

「うん」

「優柔不断で、いつも不安」

「うん」

「それに……」


一度緊張が解けると、本当の私をさらけだしたくなる。

それはずっと求めていた感覚なのかもしれない。
本当の私を受け入れてくれるという感覚。

元彼の前では一度も出したことのない私の姿。


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