あなたのギャップにやられています

引っ越しの片付けは思ったより大変だった。
前回の引っ越しから随分時間がたっているせいか、いらないものが意外とたくさんあって。


「あっ……」

雅斗に前に貸した元彼のTシャツが出てきてしまったとき、まずいと思って慌てて引き出しに戻した。

けれど、それを目ざとく見つけた雅斗は、ニヤッと笑ってTシャツを私の手から奪い取る。


「へぇー、随分大切にしてるんだな」

「や、これは……」

「こんなに大切にしてもらうと、男も本望だな」

「ち、違うよ。たまたま捨て忘れて……」


だってあんな裏切り男……。


「お仕置き」


そう言う雅斗は、私の顎を持ち上げてキスを落とす。



< 159 / 672 >

この作品をシェア

pagetop