あなたのギャップにやられています
ここまでの作業を確認する意味で、デザインを一度プリントアウトしてみる。
そして、それを掲げて満足そうに微笑む彼に、私もうなずく。
もう何年もこうしてきたのだ。
ふたりで世に出したデザインはもういくつ目なんだろう。
そんなことを考えると、感慨深かった。
それにしても、俺様雅斗の姿がこれっぼっちも見えないのはあっぱれだわ。
その辺のテレビに出ている俳優よりすごいんじゃないかって思うほど。
「木崎、ランチ行こうか」
雅斗が先輩の森川さんに誘われている。
「あっ、ありがとうございます。でも、電話待ちなんです」
「それなら私が……」
「いいえ。採用の喜びはふたりで分かち合いたいですから」
そんなことを口にした雅斗を見て、なんだかうれしくなる。