あなたのギャップにやられています
雅斗だけじゃなくて、私のこともきちんと評価してくれる人はなかなかいない。
深谷さんは、裏方の努力ですら認めてくれる人だ。
そういえば最近、以前うちの会社の営業部に勤めていた人と結婚されたとか。
「冴子さん、ありがとうございます」
電話を切った雅斗が、私に頭を下げるから驚いてしまう。
彼のデザインがなければ、できなかった仕事なのに。
私だけではなにも……。
「ううん。なに言ってるの。木崎君のお手柄じゃない」
「あはは、そんなわけないじゃないですか。ふたりのお手柄です」
深谷さんと同じように、私の仕事も認めてくれる雅斗に、思わず涙がこぼれそうになる。
それに気がついた彼は、そっとハンカチを差し出してくれた。