あなたのギャップにやられています
しばらくそこで待っていると、ドアが開いて深谷さんが飛び込んでくる。
「申し訳ない。電話が長引いてしまって、お待たせしました」
ここで一番偉い人のはずなのに、とても腰が低くて話しやすい。
「この度は、弊社のデザインを採用いただきまして……」
雅斗が立ち上がってお礼を述べようとすると、深谷さんも同時に頭を下げるから驚く。
「いや、お礼を言うのはうちの方だ。
きっとこれはヒット間違いなしと、営業企画部でも太鼓判なんだ」
採用していただく立場の私たちがお礼を言うのは当然なのに、クライアントからこんなことを言われたのは初めてだ。