あなたのギャップにやられています

「この賞は半分は、冴子さんのものです」


隣のデスクに戻ってきた雅斗は、私に賞状を渡してそう囁く。


「ううん、ちがうよ。これは木崎君が頑張ったから。本当におめでとう」


だってあなたのデザインは、本当に素敵だったもの。


「違わないですよ。ここに木崎って書いてあるでしょ?」

「ほんとだ」


彼は、"雅斗"と書かれている部分を手で隠す。
そんな優しい心遣いに感謝しながら、素直に「ありがとう」と伝えた。



社長賞を取ると、そのご褒美として金一封と豪華な食事に招待されるのが習わしだ。


「木崎、時間だぞ」

「えぇ、はい……」


おそらく社長との食事会の時間だ。
部長も一緒に招待されているのだろう。

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