あなたのギャップにやられています
「あっ、あのっ……」
形勢逆転。
私が優位に立ったのなんて、ほんの数秒だった。
会社じゃそうじゃないのに。
「なに」
冷たい雅斗の声が突き刺さる。
「あの、ごめん」
なんで謝っているんだろう。
だけど、雅斗にそっぽ向かれるのは嫌だ。
私が「ごめん」と口にすると、彼はすぐに私の方に向きなおし、ニヤリと笑う。
こんちくしょー。
どうしても会社以外では勝てる気がしない。
「平気じゃないもん」
「ん?」
「雅斗が他の……んっ」
すぐに私の唇を塞いだ彼の柔らかい唇。
くやしいけれど、その感覚はまるで麻薬のように私に安心をもたらしてくれる。