あなたのギャップにやられています

ゆっくり離れて行った雅斗は、私の頬を両手で包み込んで視線を逸らさない。


「やっと手に入ったんだ」

「えっ?」

「百合なんかに邪魔されてたまるか!」

「プッ」


思わず吹き出してしまったけれど、『やっと』と言ったくれた雅斗のことが、すごく愛おしい。


「あのね」

「うん」

「たくさん絵を見せてもらったの。それで……」

「あれ、見たのか?」


私は小さく頷いた。
雅斗は全部言わなくても気がついてしまうらしい。

なんだろう。
どんな能力をお持ちで……。


「私、だよね」

「そうだな」


少し照れたような顔をした彼は、ほんの少しだけ口角をあげて、再び私を見つめる。


< 238 / 672 >

この作品をシェア

pagetop