あなたのギャップにやられています

慌てて彼に背を向けたけれど、肩をグイッと押されてベッドに押し付けられてしまう。


「ひとりでか?」

「えっと……タクシーで行ったから、運転手さんと?」


え? 
運転手さんとふたりってのが気に入らなかったりするの?


「冴子!」


最大限に不機嫌そうな顔をした彼は「チッ」と舌打ちすると、私をますます鋭い目で見下ろす。

こんな目、会社でしたことないじゃん。


「何回言ったらわかるんだ。
あんなに暗いところにひとりでなんて、無防備すぎる。
ストーカー男のこと、もう忘れたのか!」


あっ……。
すごい剣幕で怒鳴り散らす雅斗を見たのは、きっと初めてだ。

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