あなたのギャップにやられています

そして、その言葉にいち早く反応したのは雅斗だった。


「彼女はアシスタントじゃない。デザイン部の大事な戦力だ。

話しにならない。僕が自分で話をつけにいきます。
今から工場に行って、インクを変更してもらいます。
冴子さん、付き合ってください」


「えっ……うん」


すぐにジャケットを持って立ち上がった雅斗に、慌ててついていく。

そのまま会社を飛び出した雅斗は、ふと立ち止まって天を仰いだ。


「冴子、世の中の人全員に理解してもらわなくたっていいんだ。
たったひとりでも……」

「わかってる」


それはきっと、私のために口にした言葉だ。


< 248 / 672 >

この作品をシェア

pagetop