あなたのギャップにやられています

「これ、いいじゃん」


美味しそうなオレンジから、ギュッと果汁が絞られていて、それがコップに注がれているような絵。
周りには別のフルーツが散りばめられている。


一見誰でも思い付きそうだけれど、その配置とクレヨンでぼかしたようなデザインは、きっと彼独特のもの。

雅斗の絵、やっぱり好きだなぁなんて思いながら、裏返しになっていたもう一枚を手にとると……。


「これっ……」

「冴子、勝手に」


その時、スルッと私の手から絵が奪われた。


「ごめん。でも……」


シャワーを浴びていたらしい雅斗は、髪からポタポタと水滴を滴らせながら、少し眉間にシワをよせる。

なんで上半身裸なのかは、もうこの際どうでもいいや。


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