あなたのギャップにやられています
「雅斗、その絵……」
私がそう言うと「チッ」と舌打ちした彼は、ほんの少し不機嫌そうに口を開いた。
「そう。冴子」
そこには紛れもなく、私が描かれていたのだ。
目を閉じて、恐らく眠っている私が。
鉛筆一本で描かれたスケッチは、彼らしく大胆で、だけどどこか繊細で。
「秘密にしておいたのに」
「ごめん……でも雅斗、これ、いつ?」
「さっき。あんまりにも気持ち良さそうに寝てるから」
ヤバ。よだれとか垂れてなかった?
慌てて口の回りを確認すると、彼はあははと笑う。
「大丈夫。かわいい顔、してたから」
私ををからかうように笑う彼に、口を尖らせて拗ねた振りをした。