あなたのギャップにやられています
「先方に相談しました。契約がダメになるのも覚悟の上で。
いえ、むしろ契約を破棄してほしいと」
「木崎、お前!」
ゴリラが思わずという感じで声をあげたけれど、雅斗は少しも動じない。
「部長、すみません」
静かに頭を下げる雅斗と、怒りを露にするゴリラ。
全く違う温度が、なんとなく不気味だ。
それ以降誰も口を開かない。
部長もずっと黙ったままだ。
すると、その重い空気に耐えられなくなったのか、突然ゴリラが私の顔をにらんだ。
「そっちの木崎さんの入れ知恵じゃないのか?」
「え……」
「デザインもできないくせに、口だけは出すって噂ですから」
こいつ、なに……。