あなたのギャップにやられています
怒りを通り越してカチコチに固まった私の目の前で、雅斗が……。
「今、なんて言った!」
「は?」
「なんて言ったて言ったんだ」
雅斗ってこんなに低い声が出るんだなんてくだらないことを考えるのは、多分ちょっとした現実逃避だ。
雅斗のギュッと握られた拳が震えている。
ここが会社じゃなかったら、非常にヤバイ状態だ。
いや、会社でもヤバイかも。
ゴリラよ。
あなた、きっと返り血を浴びることになるわよ……。
「木崎君、あのっ」
慌てて雅斗を落ち着かせようと前に出たけれど、雅斗はキリリと顔を上げて、鋭い眼差しをゴリラに向ける。