あなたのギャップにやられています

「ふー」


プレゼンが一段落すると、盛大なため息が会議室に響いた。
それは営業部長のもので、誰もが彼の方に視線を向ける。


「デザインに文句はありません。
ただねー、こっちの身にもなってもらわないと」

「それはどういうことですか」


雅斗が口を挟む。


「あなたたちは好きなものを描いていればいい。
だけど我々は利益を出さなければならない。そこんとこをわかってない。

インクのメーカーを変えるだけでコストが跳ね上がるのを、あなた方も知らないわけじゃないでしょう。
しかも、素人にはわからないような色の違いだ」



呆れたようにそう口にする営業部長は、雅斗をにらみつける。
明らかにこの間の仕事のことを怒っている様子だ。

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