あなたのギャップにやられています

「わかっています。
だけどそのために契約自体がとんだら、意味がないと言っているんです。
おわかりいただけませんか」


きっぱりと言い切った雅斗に、一瞬張りつめた空気が漂う。


かなり怒っている。
雅斗は今まで、こんな強い発言をしたことがないから。

自分のこだわりはもちろん主張してきたけれど、やんわりと相手を理論で納得させるという感じで、こんなに攻撃的な彼は初めてだった。


「この若造が」


吐き捨てるような営業部長の言葉に、皆が顔をひきつらせる。


「あ、あのっ」


そんな雰囲気の中で、声をあげるのは勇気が必要だった。
でも……。


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