あなたのギャップにやられています
「木崎くん。ごめん、ちょっと付き合って?」
私は雅斗を連れてフロアーを出た。
「冴子、どこ行くんだ?」
「直談判よ」
私の言葉に首をかしげる雅斗に私の考えを話した。
「この会社のインクは絶対譲りたくないの」
「あぁ。それは俺も。発色が他とは違う」
「だけど、表面加工は?」
そこまで話してところで、雅斗はハッとした顔を私に向けた。
「冴子?」
「今はPP貼加工ということになってるわよね。
光沢を出すにはUVニス加工っていう手もあると思うの。
こっちの方が単価は安く上がるはずだし……」
「うん」
「思い切って全面ニスも止めて、このメインのオレンジの果汁の部分だけにクリアインクを使って、浮き立たせるように強調するのはどう?」