あなたのギャップにやられています

「木崎くん。ごめん、ちょっと付き合って?」


私は雅斗を連れてフロアーを出た。


「冴子、どこ行くんだ?」

「直談判よ」


私の言葉に首をかしげる雅斗に私の考えを話した。


「この会社のインクは絶対譲りたくないの」

「あぁ。それは俺も。発色が他とは違う」

「だけど、表面加工は?」


そこまで話してところで、雅斗はハッとした顔を私に向けた。


「冴子?」

「今はPP貼加工ということになってるわよね。
光沢を出すにはUVニス加工っていう手もあると思うの。
こっちの方が単価は安く上がるはずだし……」

「うん」

「思い切って全面ニスも止めて、このメインのオレンジの果汁の部分だけにクリアインクを使って、浮き立たせるように強調するのはどう?」

< 299 / 672 >

この作品をシェア

pagetop