あなたのギャップにやられています
あー、コーヒー飲みたい。
いつもは絶妙なタイミングでコーヒーが差し出されるけれど、雅斗がいないからそれもない。
雅斗って、本当に気が付くんだななんて思ってしまった。
仕方ない、皆にも淹れるか。
私は立ち上がってコーヒーを淹れ始めた。
「冴子」
「はい」
その時突然先輩のデザイナー、森川さんに呼ばれる。
「あのさ、このテーブルに置いてあったデザイン知らない?」
森川さんは、さっき私が片付けたテーブルを指差す。
「えーっと、片付けましたけど、デザインはありませんでしたよ。走り書きのメモしか」
デザインのような大切なものがあるときは必ず、誰のものか確認して戻すから見た覚えはない。