あなたのギャップにやられています

「だよなぁ。
昨日の帰り、営業と打ち合わせをここでしたんだけど、営業がテーブルの上に置いておいたって言うんだよ。
もう一回、確認してみる」

「はい」


嫌な予感がする。
森川さんは、あのゴリラと打ち合わせをしていた気がするからだ。

コーヒーを配りながら、森川さんが内線でゴリラと話している様子をチラチラ見ていると、ため息をついた彼は受話器を置いた。


「参ったな」

「どうでしたか?」

「あっちにもないって言うんだよ。
あれにはクライアントからの提案が書き込んであったんだ。
頭に入っているとは思うけど……間違えたら相当失礼だしな」


森川さんは珍しく苦い顔をしている。

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