あなたのギャップにやられています
「あんた、なんかあったら吐き出しなさい。
貯めていいのは貯金だけ」
「あはは」
「なんなら私が聞いてあげるわ。
その代わり雅斗君と3人で……」
「あーあー、聞こえません」
おどけて言う百合ちゃんだけど、その言葉はとても温かかった。
反対側のホームに向かうと、百合ちゃんが両手を大きく振っているのが見える。
やだ。いい大人が、ちょっと恥ずかしいんだけど。
「冴ちゃん、頑張んなさいよ!」
デカくて野太い声が、駅の構内に響き渡った。
マジで……名前まで言っちゃうわけ?
周りの視線を一身に受けた私は、一瞬にして血の気が引いたけれど、すごくニコニコしながら私を励ましてくれている百合ちゃんに、胸が熱くなる。
「百合ちゃん、ありがとー」
結局、大声を張り上げてしまった私は、ひたすら俯いて電車の到着を祈った。