あなたのギャップにやられています

雅斗はデザインの発案者だ。
彼がいなければ始まらない。

だけど、それをパソコンに取り込んで修正をかけてという作業は、別の誰かだってきっとできる。


はぁ。
ネガティブな時は、こうしてとことん落ちるものだ。

人って厄介な生き物だ。



そんなことを考えながら大好きな彼の絵を丁寧に見ていくと、何枚かの絵の奥に、見たことのない大きな額が見つかった。

まるで隠すように置かれていたその絵は、何度もこの部屋に入った私にも見つけられなかったものだ。


「これ……」


まるで頭を殴られたような感覚が私を襲う。

間違いなくこれが……彼の代表作だ、と思うような迫力に圧倒される。
そして、細部に渡るまで手を抜くことなく描かれたその絵から目が逸らせない。

しかも、これは……。

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