あなたのギャップにやられています

きっとあの丘にある大きな楠。

その幹は長い年月を感じる重厚さが表現されていて、そして……その根本に座って空を見上げる……私、だ。



草の一本一本も、タンポポの間を飛び交うモンシロチョウも、そして、どこからか吹いてくる風までも、その絵には描きこまれている。

そして、綿菓子のようなふわふわ浮かぶ雲の間から降ってくる太陽の光が、私の頬に降り注いで。


珍しく夜空ではないその絵は、私の心を激しく揺さぶる。

だって……そこに描かれている私は、すごく満ち足りた顔をしていて、一切の棘を感じず、まるで天使のようだったから。


嫉妬やひがみを常に持ち合わせている今の私とは、ほど遠い偽物の私。
偽の――。


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