あなたのギャップにやられています
一瞬驚いた雅斗は、私の手を少し乱暴に引いて、寝室に向かった。
シャワーしてないや。
泣いて顔だって、きっと大変なことになっている。
もしかしたら黒い涙が流れているかも。
いや、フィルムタイプのマスカラだから、そこまでひどくないか?
なんて一瞬頭をよぎらなかった訳じゃない。
だけど、もう待てない。
「ごめん、汗……」
「関係ない」
一応そう聞いたものの、雅斗の返事なんて最初からわかってる。
すぐに荒々しく私の唇を奪った彼にしがみついて、彼の温もりを貪る。
大好きなの、あなたのことが。
少し前まで彼の才能に嫉妬してへこんでいたのに、それよりも彼を愛おしいと思う気持ちが勝っている。
自分が成功できないのなら、彼を応援しよう。
今は素直にそう思う。