あなたのギャップにやられています
イヤなら自分が社長になって起業するとか、絶対的な武器を持っていなくては。
雅斗にはデザインという武器がある。
でもやっぱり、私にはそういうものがないのだ。
悔しいけれど、それが現実なんだよね。
そんな当たり前のこと、社会に出るときにわかっていたはずなのに、いざこういうことにならないと、全然実感がなかったんだ。
「雅斗、私ね」
「ん?」
「またデザイン部に戻ってこられるように頑張るよ」
経理でいったいなにを頑張ればいいのかなんてさっぱりだけど、デザイン部でしていたように、自分のできることは精一杯やるしかない。
それにいつまでもウジウジ言っていたって始まらない。
そんなの男らしくないし。
男じゃないけど。
よーし、元気出てきたぞ。
「冴子。俺はいつでもどこでも応援してる」
「うん。雅斗もしっかりしなさいよ」
なんて私は精一杯の強がりを吐いた。