あなたのギャップにやられています

「木崎君。最近、絵描いてないのかい?」

「えぇ、少し忙しくて」


マスターが、美味しそうなシーザーサラダをテーブルに並べる。

確かに、今は仕事が軌道に乗り過ぎて、自分の時間なんて皆無だ。
それに、休みの日もこうして私に付き合って……。


「雅斗、ごめん」

「えっ? なにが?」


マスターが再び行ってしまった後、思わず謝ると、雅斗は不思議そうな顔をして私を見つめる。


「だって、私が雅斗の部屋に転がり込んでから、自分の時間ないでしょ?」

「あーそういうことか。ないなぁ」


私のせいだとわかっちゃいるけど、そんなにはっきり言われると、グサッと傷つくよね……。


「冴子がいると、抱きたくなっちゃうからなぁ」

「は?」

「それ以外はなんの問題もなし。
絵は描きたければいつでも描けるんだ。だから今度は冴子のヌードね」

「もう!」


そう言ってはくれるけれど、彼の時間も大切にしなくちゃ。

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