あなたのギャップにやられています
リアンを出た後、雅斗の提案で、経理の奥田さんに実は誘われていたらしい美術館に足を延ばすことになった。
百合ちゃんに会えなかったのが残念だけど、土日は稼ぎ時だもんね。
「雅斗、家に帰ろう?」
「どうして?」
美術館には行きたかった。
だけど、雅斗の時間を奪っているかもしれないと思った私は、せめてお休みの日くらいゆっくりさせてあげたいと思ったのだ。
仕事は、締切間近なものはないとはいえ、なかなか皆が手を挙げないような仕事も雅斗が進んで引き受けていたし、私がいなくなると、デザインだけじゃなく、クライアントへ提出する資料だって自分で作らなければならないし。
どう考えても忙しすぎる。
「どうしても。私、疲れちゃったし」
疲れたなんて、いつものことだ。
それに、こうして雅斗とデートができるのはうれしい。
でも、家だっていいや。