あなたのギャップにやられています
「そっかー。でもやっぱりちょっと連れてく」
「はっ……」
「一緒に行っとかないと、誰かの誘いを受けたりするからね、冴子は」
はっ……この男、やっぱり気にしているぞ。
奥田さんのチケットに手を伸ばしかけたことを、今でも覚えているなんて。
「大丈夫だよ」
「どうして大丈夫なんだ」
「だって私、雅斗が……」
思わず恥ずかしい言葉を口にしそうになって、慌てて手で口を押える。
彼がそれに気がつかないわけがない。
ドS男はニヤリと笑った。
「俺が、なに?」
「なんでもないです」
「へぇー、なんでもないんだ。
それじゃあやっぱり、大丈夫って言うのはハッタリなんだね」
まずい。
意地悪な顔全開になっている。
こういうときの雅斗からは逃れられない。