あなたのギャップにやられています
「ハッタリ、じゃないもん」
「でも、言えないんだろ?」
やっぱり始まった。
じわじわ追い詰められて、最後は降参するしかないのよ。
「わ、わかったわよ」
「ほら、早く」
わかったわよ。
言いますよ、言えばいいんでしょ。
「雅斗が好きだから。他の人なんて、目に入らないわよ! わっ」
その言葉を言い終わった瞬間、繋がれていた手が離されて、腰を抱かれて引き寄せられる。
そして、道の真ん中で……キスを。
ただ呆然と立ち尽くして、彼のキスを受け止める。
思わずギュッと閉じた目をそっと開けると、やっと彼は解放してくれた。
ふと我にかえると、美術館に向かう道には人が大勢いて、私たちの事をチラチラ見ている。