あなたのギャップにやられています
「冴子は今、正直言ってあまり良い立場ではない。
だから、落胆もしているだろう? それは俺も同じ。
だけど、冴子はそれだけでは終わらない。
きっと冴子自身もそう思っているはずだ」
「えっ?」
優しい笑みを浮かべて私の事を見つめた雅斗は、私の手をもう一度強く握った。
私、自身も……。
デザイン部を外されることが決まって相当落ちた私だけれど、雅斗に言ったように、いつかまたデザイン部で雅斗と仕事を共にしたいと思っている。
その希望だけは捨てたくないと。
どうしたら戻ることができるかなんて少しもわからない。
だけど、きっといつかと心の奥の方で覚悟を決めている自分がいる気がする。
来てよかった。
彼の貴重な時間を削ったかもしれないけれど、この時間は今の私にはすごく有意義だったと思う。
私、なんだか頑張れそうだ。