あなたのギャップにやられています

ここにこうしているだけで、現実のすべてを忘れて、穏やかな気持ちになれる。
"生きている"という素晴らしさを感じられる気がする。

あのとき――リアンではじめてあの絵を見たとき、おそらく私はそう感じた。

ただ純粋に生きていることに感謝している自分を感じたのだ。


それは若草色に身を包んだこの初夏の息吹のせいもある。
全身で太陽の光を浴びて光合成しているこの葉っぱたちが、それを感じさせてくれている。


「また、頑張るぞー」

「俺も頑張るぞー」


私が思わず叫ぶと、隣の雅斗も声を張り上げる。


「冴子が好きだー」

「ちょっと、止めてよ。高校生みたいなこと」


熱血ドラマのような台詞を吐いた彼に私はそう言ったけれど、本当はすごく嬉しかった。


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