あなたのギャップにやられています

「クソー。ここからエッチの流れだったのに」

「そんな流れどこにもないわよ」

「あー筋トレして冴子に逃げられないようにしないとな、うん」


そんなことの為にトレーニングしないでよ。



リビングの窓を開け放つと、フワッと初夏の風が吹いてきた。
あの丘の匂いがここまで届くような余韻が私を囲む。
でも……。


「雅斗、お腹すいた」

「えー、リアンで肉食ったじゃん」


肉、肉言うなよ。レディーに向かって。


「でもおやつ」

「仕方ないなぁ」


男に食べ物を要求する女って……でも雅斗が作るものは本当に美味しいから。


「承知しました、お嬢様。ホットケーキ、アイスクリーム乗せはいかが?」

「よっ! 待ってました」


手を叩きながら私も雅斗の隣に並ぶ。
こういう時間がたまらなく好きなんだ。

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