あなたのギャップにやられています

私はなにも言えなくなって、自分の席について顔を伏せる。
だって泣きそうだもの。


「おはようございます」


すぐに先輩が出勤してきて、慌てて目頭を押さえた私は、なんでもなかったようにパソコンを立ち上げた。



その日はあっという間に終わってしまった。

お昼休憩ですら、あまりに没頭していた私たちはすっかり忘れていて、部長に促さされてやっと二時になって腰をあげたくらいだ。

だけど、食べに行く時間ももったいなくて、近所のコンビニでサンドイッチを買ってそれですませた。
誰かに野菜ジュースを持たされたけれど。


最後のデザインの資料が出来上がったとき、私は脱力した。
簡単に引き継ぎすればよかったかもしれないけれど、プレゼンの資料まで作りあげたのだ。

そして、雅斗もやらせてくれた。

後ろ髪引かれたまま終わりたくない。
それを彼もわかってくれたのだと思う。

< 422 / 672 >

この作品をシェア

pagetop