あなたのギャップにやられています
第4章

混乱


それから私の経理ライフが始まった。

奥田さんが、指名されてもいないのに私の世話を焼いてくれるのにはちょっと参ったけれど、数字の苦手な私でも、コンピューターという強い味方があったから、さほど困ることはなかった。

ただ、毎日目にしていた素敵なデッサンが、大嫌いな数字に変わったことで、ストレスが溜まっているのは否めない。


「木崎さん、この経費の許可下りたから、各部に伝えてくれる?」

「はい」


部長に何枚かの書類を渡された私は立ち上がった。
これをもって会社内のお散歩だ。


まずは……ゲッ!

営業部可知ってゴリラじゃん。
接待費って、接待なんかしないで仕事取ってこいよ!

心の中でぶつくさ言いつつ、これも仕事だと自分に言い聞かせて営業部のドアを開けた。

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