あなたのギャップにやられています
決断の時
その夜、雅斗は帰ってこなかった。
どこでどうしているんだろう。
もしかしたら、呑んだくれているのかもしれない。
心配で仕方なかったけれど、電話をすることができなかった。
今は彼も、ひとりの時間が必要なのかもしれないと思ったからだ。
ろくに眠れず朝を迎えると、玄関のドアが開く音がした。
「雅斗……」
「冴子、俺……」
「おかえり」
バツの悪そうな顔をした彼にそう言うと、彼は私を見つめていつもの柔らかい笑顔を見せてくれた。
「ただいま、冴子」
「ねぇねぇ、見てよ! お味噌汁作ったんだよ? しかも出汁もちゃんと取ったんだから」
雅斗に出汁の取り方を教えてもらったものの、面倒な私はいつも顆粒の出汁に頼っていた。