あなたのギャップにやられています
「うん、あのね、私……決めたの」
私がそう言うと、百合ちゃんの箸がピタッと止まる。
「な、なにを?」
「私、アゲマンになる!」
「プッ」
「ちょっと汚いし」
食べていたものを吐き出しそうになった百合ちゃんに、慌てておしぼりを渡した。
「だって、なにごとかと思って。アゲマン宣言って、面白すぎるでしょ」
そう言われるとそうなんだけど、私は結構真面目なのよ。
「それで、どういうことよ?」
手酌でビールを飲み始めた百合ちゃんは、意外と酒豪だ。
「雅斗を無理矢理イギリスに行かせる大作戦するの」
「は?」
「きっと雅斗は自分が絵が好きなことはわかってくれたと思う。
でも、たぶんまだ迷ってる。
だったら外掘りから埋めて、行かなきゃしょうがないようにしちゃう大作戦」