あなたのギャップにやられています

「冴ちゃん。でもあなたやっぱり、雅斗君と離れたくないんでしょ?」


百合ちゃんは迫力満点の顔で、私の顔を覗き込んだ。


「ううん。決めたの」


私がきっぱりそう言うと、「そっか……」と百合ちゃんもうなずいた。
実際に部屋探しを始めていることで、私の意志が固いことを、きっとわかってくれたのだと思う。


次の日の会社帰りに、早速新しい部屋の鍵をゲットした。
そして、雅斗の部屋に帰ると、少しだけ荷物をまとめた。


昨日の夜は雅斗からメールだけ入った。
きっと遅くなったのだと思う。


明日帰るな。

と珍しく一言だけ。
だから私も、"待ってる"とだけ返した。


今日、早ければ雅斗のイギリス行きが決まる。
会社の商談もあって部長も同行しているけれど、主たる目的は雅斗のことだ。
理解ある部長でなければ、こんなことは叶わなかったと思う。


怖い思いをしたあとであの丘にひとりで行く勇気もなく、私は部屋のベランダから星に願う。

どうか雅斗の夢が叶いますように、と。

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