あなたのギャップにやられています
雅斗はなかなか帰ってこなかった。
部長と一緒だからメールだって簡単には打てないだろう。
その部長は私たちの関係を知っているのだけれど。
結局帰ってきたのは、23時を過ぎていた。
「おかえり、雅斗」
「ただいま」
雅斗は一瞬にっこり笑ったけれど、いつものテンションとは違う。
疲れているから、という訳ではないだろう。
「お風呂、入れようか」
「ありがとう。でも冴子、もう入ったんだろう? シャワーでいいよ」
ボストンバッグをリビングにおいた雅斗は、そのまま浴室に向かった。
「着替え、置いておくね」
「サンキュ」
基本裸族の雅斗は、うっかり着替えを忘れると、普通にそのまま出てくるから。
リビングに戻ると、冷たいビールでも用意しようかと思ったけれど、なんとなくやめておいた。