あなたのギャップにやられています

「冴子、ちょっと」

「……うん」


ドクンと心臓が跳ねた。
雅斗の顔がいつになく真剣だ。
イギリス行きを決めたって言われるのかも……。

もう覚悟を決めているはずなのに、やっぱり不安だ。
本当は、ずっとここにいてほしい。


雅斗の隣に座ると、すぐに彼は私の肩を抱いてキスを落とす。


「すげー寂しかった」


ってそうじゃなくて!
イギリスの話は、どうしたのよ?

だけど、いつもならそのままいたずらを始めそうな雅斗だけれど、私を抱きよせてしばらく動かなくなる。


「雅斗?」

「俺……」


それ以降、言葉をなくした雅斗に、「いいのよ、自分のことだけ考えれば」と心の中で呟いてみる。
そうでもしなければ、泣いてしまいそうな気がして。


雅斗、迷ってるんだ。
やっぱり私のことなの?
< 502 / 672 >

この作品をシェア

pagetop