あなたのギャップにやられています
「冴子、ちょっと」
「……うん」
ドクンと心臓が跳ねた。
雅斗の顔がいつになく真剣だ。
イギリス行きを決めたって言われるのかも……。
もう覚悟を決めているはずなのに、やっぱり不安だ。
本当は、ずっとここにいてほしい。
雅斗の隣に座ると、すぐに彼は私の肩を抱いてキスを落とす。
「すげー寂しかった」
ってそうじゃなくて!
イギリスの話は、どうしたのよ?
だけど、いつもならそのままいたずらを始めそうな雅斗だけれど、私を抱きよせてしばらく動かなくなる。
「雅斗?」
「俺……」
それ以降、言葉をなくした雅斗に、「いいのよ、自分のことだけ考えれば」と心の中で呟いてみる。
そうでもしなければ、泣いてしまいそうな気がして。
雅斗、迷ってるんだ。
やっぱり私のことなの?