あなたのギャップにやられています
「木崎君と一緒なんだね」
「はい」
「君たちはいいコンビだったって聞いているよ」
「はぁ」
もうこの際、付き合っていることがバレたら、しつこいお誘いも無くなるかもと期待したのに、全くそんな素振りがない。
それに反して雅斗は、「一緒に行きましょう」と誘ってきた奥田さんに、明らかに敵意丸出しで顔をしかめているし。
雅斗。会社キャラと違うぞ、その顔。
エレベーターが経理のある3階について、私と奥田さんが降りようとすると、雅斗が私の手を引いた。
「冴子さん」
「ん?」
「昨日の件、お願いします」
「昨日?」
なんのこと? と首をかしげると、雅斗が私の耳元で「明日にしようって言ってた件です」と囁く。
それって、ベッドで言った件、よね……。
雅斗の言葉にハッとすると、「それでは」と今度は会社用の顔をした雅斗が、意味深な笑みを浮かべた。