あなたのギャップにやられています
「ねぇ、雅斗」
「うん」
「私、部屋を出る」
「冴子。今、なんて言った?」
私を乗せたまま起き上がった雅斗の腹筋って相当なものだなんて、くだらないことを考えて、少しでも痛みを和らげようとする。
「私、部屋を出るって決めたの。もう部屋を借りてある。
雅斗にヌードを描いてもらったら、引っ越そうって……」
「なんでだ!」
私の肩を痛いほどつかむ雅斗の視線が鋭い。
私だって、こんなことを口にするのは辛いの。
「なんで、だよ」
今度は雅斗の悲嘆にくれたような声に息を呑む。
「ごめん、決めたの」
わかって。
私がこの決断を下した意味を。
泣きそうになるのをこらえて彼から離れると、「くそっ」という絞り出すような声が聞こえて、胸がつぶれそうだ。