あなたのギャップにやられています
私は彼に背を向けた。
まともに雅斗の顔を見ていたら、決心が揺らいでしまいそうだから。
「冴子、俺のイギリス行きか?」
私の背中越しに問いかける雅斗に、なにも返事をしないでいると、彼は再び口を開いた。
「それなら行かない。
言っただろう? 冴子が一番大切だって」
それじゃダメなの。
意を決した私は、ゆっくり振り向くと、雅斗の顔を見つめた。
「それなら、別れる」
「別れる?」
「そんな……女ひとりに振り回されて、夢を台無しにする男なんて、魅力ない」
「なに言ってんだ。俺は冴子との結婚だって考えて……」
雅斗の口から出た『結婚』という言葉に、やっぱり泣きそうになる。
私だって、あなたとそうなれたらって思ってた。
いや、今でもそう思ってる。
まだ付き合い始めて半年かもしれないけど、ずっと一緒にいて、こんなに心地良い時間をくれたあなたとなら、きっとうまくやっていけると。
でもね、今結婚を選んだら、きっと私もあなたも後悔する。