あなたのギャップにやられています
雅斗の最後の出勤となる金曜日がやって来た。
“木崎に会うか?”と部長がメールをくれたけれど、私は丁寧に断った。
会ったりなんてできない。
辛すぎて、雅斗の顔をまともに見ることができない。
仕事を片付けた後、猛ダッシュで会社を出た。
今日が雅斗と同じ会社で働ける最後の日だと思うと、所構わず泣いてしまいそうだったから。
今日はデザイン部で、彼の送別会をやるらしい。
それなら雅斗と鉢合わせすることはないと、私はリアンに向かった。
「こんばんは」
「いらっしゃい。久しぶりだね」
雅斗と離れて暮らし始めてから、リアンに来るのは初めてだ。
雅斗もここに来る気がしていたから。
「百合ちゃん!」
奥のテーブル席にいた百合ちゃんは、やっぱりサイズのでかさから一目瞭然だ。
百合ちゃんに会いたかったから、テンションが上がる。
「冴ちゃん、お久じゃない。
電話もないし、雅斗君とイチャイチャしているんだって、嫉妬してたんだけど」
「あはは……」