あなたのギャップにやられています

「マスター、冴にステーキ。特大サイズ!」

「ちょっと勝手に! マスター、牛たたきの和風ねぎソースで」

「あはは。了解」


今日はさっぱりいきたい気分なの。


「それでー!」


体を乗り出して私に畳み掛ける百合ちゃんの迫力が半端ない。
つばが飛ぶから! 普通にしてて。

私はヌードを描いてもらったこと以外は百合ちゃんに話した。
ヌードの話なんてしたら、またなにを言われるかわかったもんじゃない。


「なんで、電話してこないのよ。冴、辛かったわね」


百合ちゃんは可愛らしいポーチからレースのついた真っ白なハンカチを取り出して目頭を押さえる。


「それで、それから雅斗君から連絡はないの?」

「うん。私、番号変えたから」

「て言ったって、会社で捕まえられるじゃない」

「そう、だね」


雅斗は私には会いに来なかった。
それが彼の答えなのだと思う。

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