あなたのギャップにやられています
「冴子」
「ん?」
「好きだよ」
今までとは違う真剣な顔で、しかも吐息がかかりそうな距離でそう言われると、まるで魔法にかかってしまったかのように動けなくなる。
「木崎くん、あの……」
「ん?」
「私、よくわかんないけど、木崎君のこと嫌いじゃない」
「それは、好きってことだから」
勝手に断定する彼がおかしい。
だけど、私の額に「チュッ」とキスを落とした彼のことを、本当に好きなのかもしれないなんていう気持ちになる。
こんなにストレートに思いをぶつけられると、誰だってそう錯覚するんじゃないかなんて、考えてしまう。
彼は私の手を握りしめたままスースー寝息をたて始める。
やっぱり相当疲れているに違いない。
彼の描いてくれた月夜の絵を思い浮かべたあと、私も目を閉じた。